「スモールワールド・ネットワーク」とは、
「ネットワーク科学」において、現実に存在する複雑なネットワークを研究する中からモデル化された概念で、
それを考案したダンカン・ワッツ氏は、その著書の中で、
その部分では(=ネットワークがある係数的特徴を持った場合)、
局所的なクラスタリングが高く、全体的なパスの長さが短い。
これがわれわれのスモールワールド・ネットワークである。
と述べている(ダンカン・ワッツ氏著「
スモールワールド・ネットワーク」p.103)。
つまり、「スモールワールド・ネットワーク」とは、「ネットワーク科学」的には、
・高いクラスター性 〜 局所的なクラスタリングが高い
・短い平均距離 〜 全体的なパスの長さが短い
という2つの特徴を合わせ持つネットワークであると定義される(「『複雑ネットワーク』とは何か」p.73)。
「高いクラスター性」とは、
ネットワークの中の任意の1つの構成要素に着目した時に、
それと連結している他の構成要素同士もまた連結しているような状態
のことであり(「複雑な世界・単純な法則」p.355)、
イメージ的には、近接している複数の構成要素同士が蜜に連携し合っている状態(=近接密集性)である。
「短い平均距離」とは、
ネットワークの中のあらゆる任意の2つの構成要素が、少ない構成要素を介して連結している状態
のことであり(「複雑な世界・単純な法則」p.355)、
これは一般的には「世間は狭い」、社会学的には「6次の隔たり」と言われる状態である。
脳においては、先の茂木氏の Tweet にあるように、
数個のシナプス結合を通してどのニューロンからニューロンにも到達できる
という特質となる。
そして、「高いクラスター性」を前提としつつ(この特性だけでは、ネットワーク全体の平均距離は長くなってしまう)、
ネットワークが全体として「短い平均距離」を実現するためには、
遠くのクラスターを連結するような「長距離を結ぶ少数のリンク」=「ショートカット」が必要になる。
つまり、「スモールワールド・ネットワーク」の特徴をもう少し分かりやすく整理すると、
(1)高いクラスター性(=近接密集性)
(2)遠くのクラスターを連結するような長距離の少数のリンク(=ショートカット)
という特徴を持つことにより、結果として、
(3)短い平均距離(=「世間は狭い」「6次の隔たり」)
を実現しているネットワークのことである
ということになる。