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FIFAクラブワールドカップで「ほんもの」について考える

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サッカーファンにとって師走のお楽しみ、FIFA クラブワールドカップ が、UAE で始まりました。12月9日の開幕戦は、開催国代表 アルワハダ とオセアニア代表 ヘカリ・ユナイテッド の対戦でしたが、クラブ王者を決める大会に相応しく、双方とも高い技術力をベースにした闘志溢れるプレーの連続で、テレビ観戦したサッカーファンである私的には非常に満足度の高い試合となりました。「マラドーナの5人抜き」を彷彿とさせるような HUGO 選手(80番)のドリブルや、若干21歳にしてすでに百戦錬磨のベテランの風格を漂わすキーパー Adel AL HOSANI 選手(40番)の鋭い飛び出しでのキャッチングなど、アルワハダの選手達のプレーは、そこここに、高いクオリティで、サッカー的な悦楽を感じさせてくれるものでした。それでも、私が最も心打たれたのは、負けた方のヘカリ・ユナイテッドの選手達のプレーでした。仕事を別に持ちながらサッカーに取り組んできたという彼らには、とかく「アマチュア」というレッテルが付きまといますが、アルワハダとの試合では、「アマチュア」とか「プロ」とかのカテゴライズは無意味のように感じました。それは、もちろん、ヘカリ・ユナイテッドの選手達が、「プロ」であるアルワハダの選手達に伍すだけの、非常に高い技術レベルにあったということが前提となっています。しかし、それだけでなく、その確かな技術に基礎付けられた「何か」が、もしくは、その技術を可能足らしめた「何か」が、彼らのプレーの一つ一つから表現されていたように感じました。FIFA クラブワールドカップというスポーツエンタテインメントの世界的舞台で、「アマチュア」とされる選手達が非常にハイレベルな感動を生み出してくれた、ということをどのように理解したら良いのでしょか。そこで思い起こされたのが、ギルモア氏とパイン氏による「新しい消費者の感性として「ほんもの」が台頭している」「それゆえ、企業は「ほんもの」の経済価値を生み出す必要がある」という主張です。彼らの言う「ほんもの」とは、それを私なりに理解すると、「自分と他者に対して誠実であること」という特質を指しています。その意味で、アルワハダ戦でのヘカリ・ユナイテッドの選手達は、自分に対して誠実にプレーした「ほんもの」のサッカー選手であり、他者(相手選手、審判、観客等)に対して誠実にプレーした「ほんもの」のアスリートであったと言えるのではないでしょうか。ヘカリ・ユナイテッドの選手達が表現した「何か」は、とりあず、ここではそれを、ギルモア氏とパイン氏による概念を借りて「ほんもの」性として考えましたが、現代のマーケティングに対して重要な問いかけを発しているように感じました。サッカーファンとして、素晴らしい試合を展開してくれた両者に対して、そして、マーケティングに取り組む者として、重要な気付きを与えてくれたヘカリ・ユナイテッドの選手達に対して、感謝したいと思います。


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